出会い
最初にL⇔Rの"Lazy Girl"を聴いた時、こんなに自分の好みにあったポップなロックをつくってくれる人が日本にいたんだ、と衝撃を受けたのがはじまりです。
もうあざといくらいに「音楽に求めるもの」のポイントを突きまくっていたのです。もちろん健一さんは私の好みなど知るわけないのに。
収録アルバム「Lefty in the Right」を聴いてさらに驚きました。スキップしたくなる曲がない!ビートルズのエッセンス満載なのに単なるオマージュじゃない!
それから、私にとってはとても珍しいことですが、L⇔Rは出ているアルバム全てを買い揃えるバンドになりました。
ライブ
健一さんの音楽を生で聴いたのは3回だけ。
1回目はL⇔Rの1997年の大阪フェスティバルホール。客席もそうだったけど、それ以上に健一さんのアクションが激しかった。何かを振り切るような。
ステージから客席に水をぶちまけたり、ステージを抜けて(カメラが追いかける)ホールのロビーにあった誰かの公演ポスターに落書きしたり。
"STAND"のプレイ中にスクリーンに映し出された人間や動物の赤ちゃんが(おそらく生まれて初めて)立ち上がる映像の連続と、健一さんの一連の行動、そしてこの時のツアーがL⇔Rのラストツアーになり、"STAND"がL⇔Rのラストシングルになったこと。これらの出来事のリンクは今も心を締めつけるし、一方で表現の輝きも感じます。
2回目と3回目についてはこちらに書きました。1回目と2回目は実に16年も空いています。もったいないことをしたとも、それでも間に合ってよかったという気持ちの両方がぐるぐる。
一連のライブで確信したことは、健一さんはヴォーカリストとしても安定したプロフェッショナルだということでした。
特に好きな曲(毎日変わるけど、今は)
- Lazy Girl
- イントロのドラムとそのサウンドからして「あざといけど最高」。間奏のビブラフォン?で「もうまったく」と苦笑するほどに。
- Bye Bye Popsicle.一度だけのNO.1(弟・秀樹さんとの共作)
- 「Love Song 作りすぎの 疲れた君の声は」から上がっていくメロディと健一さんのヴォーカル。そういえばL⇔Rもオリコン1位は一度だけか。
- Younger Than Yesterday
- シュールレアリスティックな歌詞(SHONEN UMINO=牧村憲一さん)もアルバム1曲目からこの曲へのつなぎもぞくぞくだけど、それに負けないメロディライン。
- (I Wanna) Be With You
- 団体旅行バスの中で、気がつくとこの歌を何度も声に出して歌っていたらしく、お年寄りの方から笑顔で「楽しそうね」と言われたことがある。
- Now That Summer is Here
- 間奏の"Good Vibration"へのオマージュがおまけにしか感じられないほどの「喪失感」。これから夏が始まるというタイトルとは裏腹だが(でも夏らしくはある)。健一さんの作品はただポップなだけ、というものではない。
- EQUINOX
- こちらの「喪失感」は人生の積み重なりのようなものも感じる。いや、喪失感というより「後戻りできないけど後悔していない」感か。ストリングスの入っていないバージョンのほうがだんだん好きになってきた。そして牧村さんの詞の奥深さ。
- Hello It's Me
- カラオケで歌ったりTwitterでつぶやいたりした時「いい曲だよね」とコメントされたことが5回以上あったと思う。ストリングスアレンジも好き。
- Day By Day
- ポップセンスと喪失感のバランス。
- Return to Love
- このリスト、ソロはこの1曲だけになってしまったけれど。健一さんの「作曲というよりすでに完成されたポップスをどこかから持ってきた」ようなセンスがとてもはっきり表れている。
- (番外編)健'zでカヴァーした曲
- ポール・マッカートニーとビーチ・ボーイズを中心とした選曲が「彼らの音楽をわかりすぎている」。萩原健太さんも楽しかっただろうな。
黒沢健一さんは私の生活に彩りを与え続けてくれています。ありがとうございました。