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「真の継体天皇陵」今城塚古墳と今城塚古代歴史館に感じた行政のやる気

このブログでアクセス数が特に多いのがこのメモ。世界最古の王室と言われる日本の皇室の、実在と系譜が確実な最初の天皇といわれる継体天皇についてのものです。

で、そういえば継体天皇のお墓って関西にある、すぐ行けるやん、と気づいたので行ってきました。
ちなみに、宮内庁が継体天皇陵として比定している「太田茶臼山古墳」は実は継体天皇のお墓ではないという説が有力です。(参考:茨木市観光情報−古墳−太田茶臼山古墳(継体天皇陵)

ではどこが「真の継体天皇陵」と言われているのか。それがこの「今城塚古墳」です。


駅からの道

その今城塚古墳、大阪の高槻にあります。最寄り駅はJR京都線の摂津富田駅。遠方からでも、新幹線で新大阪駅から乗り換えなしで15分程度ですから、わりと行きやすい歴史スポットと言えるのではないかと思います。詳細はこちらを参照ください:いましろ 大王の杜 JR摂津富田駅から徒歩での推奨ルート/高槻市ホームページ

駅の改札を出て右に行くと北口に出ます。そこをさらに右(京都方面)に進みます。

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いきなりこんな表示があるが前に進んでかまいません。

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JRを右手に京都方面に歩きます。

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そんなに複雑な道のりではないですが、要所要所にこんな案内板があるので助かります。ここが「高槻市、今城塚古墳の観光に力を入れているんだな」と最初に感じたスポットです。


今城塚古墳

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駅から徒歩約20分、住宅街を少し右に入ると・・・

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いきなりこんな風景が。

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入り口にあたる場所に、全体図のパネルがありました。コミカルなキャラが登場しています。この時点で、宮内庁が管理している天皇陵との差異を感じます。

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最初に気づいたのが、壕に水が途中までしか入っていないということ。水のない場所では、子どもたちがボール遊びをしています。まるで公園。これも、宮内庁管理天皇陵ではありえないことです。

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ぐるっとまわって北側へ。展望台があります。埴輪の屋外展示も。ここでも家族連れがレジャーシートを敷いてくつろいでいました。

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壕の部分に降りることもできます。そのための階段もあるくらいです。

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壕に降り立ってみました。

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さらに、墳丘にも上ることができます。個人的には初めての体験です。

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中は普通の山道のような風情。なんですが、古墳の壕に入って墳丘にも上れるなんて、古墳だらけ(そしてある程度の規模以上の古墳は軒並み立ち入り禁止)の奈良県で生まれ育った身としてはかなりしびれる経験でした。

何より、宮内庁が天皇陵として比定していないからこそこの今城塚古墳が発掘調査もできるし公園のようになって市民の憩いの場になっている。一方で、この古墳こそ現在の皇室の源流かもしれない(南北朝の件はさておき)。本来なら宮内庁が管理すべき筆頭の古墳がこのように「親しみやすい」存在になっている・・・このことに皮肉というか運命的なものというか、そういうものを感じた次第です。


高槻市立今城塚古代歴史館

古墳自体もなかなか興味深いのですが、すぐ近くに博物館があるそうなので行ってみることにしました。

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古墳との間は100mくらいしかないのですが、その短い道中にもこのようなパネルが続いており飽きさせない仕組み。ここでも「高槻市のやる気」を感じました。

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今城塚古代歴史館の外観。まだできて間もないようできれいです。入場無料。

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常設展示エリアへ(特別展示コーナーもなかなか興味深かったですが、ここでは常設展示内容に絞ってご紹介します)。内部も外観同様、新しい設備が充実しています。プロジェクタで映し出される古墳の歴史の映像解説や、子ども向けのアニメ解説も豊富です。一層行政の「やる気」を感じます。無料でこれはたいしたものだな・・・

(館内は特記がない限り撮影可です。ブログへの掲載については歴史館の学芸員さんから口頭で許可をいただきました。)

古墳ひとつでどんな展示が?と思われるかもしれませんが、これがいろいろあるのです。

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古墳ビジュアル年表。この今城塚古墳が他の有名古墳、たとえば大仙陵古墳(いわゆる仁徳天皇陵)とどのくらい時代が離れていて大きさがどれくらい違うのかが一目でわかる仕組みです。

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今城塚古墳縮尺模型。これも古墳を理解する助けになります。

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継体天皇の生涯を解説したパネル。すべてを掲載したいですが、それはさすがにネタバレというか憚られるので控えます・・・


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継体天皇の石棺に使われていた「阿蘇のピンク石」の実物。

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阿蘇からの道。

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復元された石棺。これをじっと観ていたら、おそらくこの歴史館のご近所さんらしき初老の紳士から「これ、ほんまに阿蘇からリレーみたいにして運んできたんですけど、最後は近所の小学生がアンカーになったんですわ」と解説していただきました。それは感慨深い・・・

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埋葬イメージ。

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埋葬時の服の復元。継体天皇のイメージがこれで少し具体化しました。こんな感じだったんだなあ・・・

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常設展示エリアから外に出ると、広めのロビーと参考図書が閲覧できるエリア、そしてスーベニアショップ。そこにはゆるキャラ「はにたん」が。

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歴史館から出て古墳に戻ると、夕暮れに見事に映える姿を目にすることができました。この古墳が夕暮れに映し出されるのは、いったい何万回目なのでしょうか。

その始まりはきっと輝かしく、そしてその後長年忘れ去られていたこの場所をこの数年でまた輝かせようとする行政の意気込みに感心した次第です。



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