読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

「男性だけが働く社会」での男性の悲哀・小遣い制は日本特有?−山田昌弘「なぜ日本は若者に冷酷なのか」

本・まんが 社会と課題

なぜ日本は若者に冷酷なのか―そして下降移動社会が到来する

書名の問いに対する明確な答えは見いだせなかったので、その点では少し残念だった本です。しかし、興味深いデータが多く掲載されており、そこから学べることも多かったのでその点をメモします。



「自己責任意識」の強固さ

「所得の多い家庭の子どものほうが、よりよい教育を受けられる傾向があると言われます。こうした傾向について、あなたはどう思いますか。」[ベネッセ・朝日新聞

  • 2008年 当然だ3.9%、やむを得ない40.0%
  • 2012年 当然だ6.3% やむを得ない52.8%

「生まれた家によって受ける教育の良し悪しが左右されるのは当然だ/やむを得ない」という人の割合が増えています。


「結婚や同棲生活に必要なものは十分な収入である」に「賛成」の率[内閣府少子化社会に関する国際意識調査報告書」2010年]

日本と韓国では、その他の国に比べて「結婚や同棲生活に必要なものは十分な収入である」と思っている人が多いです。

この結果からは、現代でも「自己責任意識」と、それを感じずにはいられない現状の追認(家庭環境からくる教育の差があってもしょうがない、収入がなきゃ結婚生活なんてやっていけない、という思い)が強いことがわかります。私自身も、先立つものがないと結婚生活そのものが成り立たせるのがしんどいのでは、というのが正直な感想です。いざという時は国が支えてくれるからとか思えず(ぱっと思いつく限りでは、現時点での医療保険の高額療養費制度はとてもありがたいなと思いますし、他にもいろんな行政サービスのお世話にはなっているのでしょうが)、自分で何とかしなきゃ、としか思わない。この意識の強固さは、本田由紀さんの「社会を結びなおす」(2014年)にもそうなった理由とともに書かれていたとおりです。



ちなみに、本書には書かれていなかったのですが、この調査で他に「結婚生活にどんなことが必要と考えているのか」を調べてみました。どの国も、1位は「夫または妻に対して誠実であること」です。しかし2位が以下のとおりなのです。

(PDF)少子化社会に関する国際意識調査報告書P.19

  • 日本:十分な収入があること
  • 韓国:十分な収入があること
  • アメリカ:性的魅力を保ち続けていること
  • フランス:家事・育児を分担し合うこと
  • スウェーデン:家事・育児を分担し合うこと

それぞれの国の環境や事情が少し見えてくる気がします。



あと、過去のメモで連想したのは以下の調査結果です。

  • 大竹文雄「競争と公平感
    • 日本人が運やコネを重視する価値観を持つようになったのは、最近である可能性が高い。
    • 18歳から25歳の頃不況を経験すると「人生の成功は努力よりも運による」と思い、「政府による再配分を支持する」が、「公的な機関に対する信頼を持たない」という傾向がある。
  • 大竹文雄・白石小百合・筒井義郎「日本の幸福度 格差・労働・家族」
    • 結婚の幸福度の決定要因について、驚くべきことに日本の男性はアメリカの女性に似ている。自分自身の所得と結婚の幸福度は関係しているが、配偶者への経済的依存度や配偶者の所得は結婚の幸福度と関係しないという点である。一方、アメリカの男性と日本の女性にも共通点がある。自分自身の所得は結婚の幸福度と関係がないということと、配偶者の所得が低いより高いほうが結婚の幸福度が高まっているという点である。

「男性だけが働く社会」での男性の悲哀

日本のように、男性だけがフルタイムで働くという家庭が多い社会では、男性はよく言われる「自分だけが大黒柱」というプレッシャーの他に、自分が自由に使えるお金という面でも悲哀を味わっていることが、以下のデータからわかります。

男性の小遣い(上位6割値)の国際比較[クロス・マーケティング社と著者が共同で実施「男性の消費実態調査」2010年]

夫婦でフルタイム共働きの家庭の割合

割合
日本 22%
中国 64%
アメリカ 67%
イギリス 49%
イタリア 46%

(なお、本書によると、正規雇用で共働きをしている夫婦(60歳未満)は15%で、年齢層による差はほとんどなく、そのかなりの部分が官公庁勤務)

小遣い制を導入している家庭の割合

割合
日本 46%
中国 20%
アメリカ 20%
イギリス 6%
イタリア 7%

小遣い額と年収に占める割合

平均小遣い額 年収に占める割合
日本 4.0万円 8%
中国 3.5万円 35%
アメリカ 8.0万円 12%
イギリス 6.5万円 19%
イタリア 3.5万円 14%

これらのデータを見る限りでは「日本は他国に比べて夫婦共働きが少ないから小遣い制の割合が高く、しかも稼いだお金のうち小遣いに回せる額が少ない」という推測をしてしまいます。

前掲書にもこんな調査結果がありました。


前述の本田さんの本を読んだときと同じく、現状を少しでもどうにかするにはどんなアクションがとれるのかな、ということを考える日々です(妻にではなく、国や自治体に、です)・・・ちなみに我が家は「妻は現時点では専業主婦、夫婦ともに小遣い制で毎月の生活費も一定額のなかでやりくり、もしお金が余ることがあれば私が管理し妻と話し合って使い道を決める」です。