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岡村靖幸ライヴ「エチケット」Zepp Osaka

個人的には2003年のツアー以来。2007年のは自分が体調不良で泣く泣く断念、その後本人が活動停止・・・この8年ぶりのライヴにはどうしても期待が過大になりがちでした。一方で、岡村ちゃんの心身も気がかり。歌詞やパフォーマンスとは裏腹にかなり繊細な人だと思うので(表現者にはありがちですよね、表現と本人の性格が一見逆に見えること)、復帰後、前みたいに無理してないかな・・・との思いも消せません。

そんな相反する気持ちをないまぜにしつつ彼の登場を待ちました。長すぎるように思える開演前のBGM。さらにじらしまくるイントロ。そして出てきた岡村ちゃんは・・・


最新アルバムのジャケットで見てはいたけど、体型がほとんど90年前後の頃に戻ってました!そしてあのダンス!そして怒濤の「どおなっちゃってんだよ」・・・これだけで彼の復活を感じましたが、次の「カルアミルク」での安定したヴォーカルに「感じ」が「確信」に変わりました。ぜい肉(失礼)だけでなく、いろんなものがシンプルにそぎ落とされていたのです。

アルバム「エチケット」の音からもわかるように、オリジナルの楽曲にさらにファンク風味を加えつつ、オリジナルの勘所はきっちり押さえていて、いい意味で「岡村靖幸ヒットパレード」。オーディエンスをほんとに楽しませてくれました。「イケナイコトカイ」の本人まで泣きそうな歌い上げっぷり(そういえば昔のライヴビデオで本当に泣いてたような)、「いじわる」のイントロの繰り返し(で燃え上がる会場)、オーディエンスが叫びたいところできっちり叫ばせる「配慮」・・・彼のこれまでの総括と復活を強く印象づけるライヴでした。

ひょっとしてやらないのかなと思ったけどやっぱりやってくれたキーボード弾き語りコーナーでは、定番のご当地即興ソング「大阪ベイベー」からレイ・チャールズ「我が心のジョージア」、渡辺美里への提供曲で屈指の名バラード「Lovin' You」(私としてはミニー・リパートンの同名異曲より好きかも。そして美里さんのこの日のライヴが思い出されて感極まりました)、まさかの荒井由美「卒業写真」、そして「友人のふり」と、もう言うことない。


そんな大満足のエンターテインメントショウだったんですが、贅沢にも大きな注文も残りました。それはやはり、新曲が聴きたい、ということです。今回のライヴはすべて既存曲で構成されていました。それにそもそも、オリジナルアルバムが25年間で6枚というのはこの貴重な才能がもったいないと思うのです。ライヴ最後の曲がデビュー曲「Out of Blue」だったのは、これから新しい岡村靖幸の作品が解き放たれるという意味を込めたものだったらいいな、それでこそ本当の「復活」だよな、と願った夜でした。


参考: セットリスト


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