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NHK文化センター講座:知っているようで知らないビールの世界(2)

前回に引き続いての第2回、最終回。知識・情報中心の前回に比べ今回は実践(テイスティング)の時間がたっぷりありました。

まず最初は前回の振り返り。前回教えていただいた内容で私のビールの世界がぐっと広がりました。その影響もあり、気がつけばあれから1ヶ月で25種類のビールを味わっていました(Twitterに投稿した写真を数えたらそれだけあった)。日本でどの店にもおいてあるタイプのビールだけビールではないってことを教えていただいて、それを実際に自分で味わってみたという感じです。

次は、日光による味の劣化について。実際に数日間日光に当てた瓶ビールと同じ銘柄の缶ビールの飲み比べ。私は味に敏感なほうではないのですが、それでもはっきり違いがわかりました。ぴりっとした刺激やさわやかさのようなものが鈍くなっていて、口に入れるのにふさわしくない香りが少ししました(アンモニア臭と言われているそうです)。これは日光だけでなく蛍光灯も影響を与えるそうで(紫外線)、だから瓶ビールを蛍光灯にずっと当てている売り場はビールにはあまりよろしくないのだそうです。


後半はテイスティング。「ビアスタイル」という醸造方法や味わいによるジャンル分けの例として、以下の6種類の瓶ビールと2種類の樽詰めビールをいただきました。

(左から、ビアスタイル、発祥国及び()内に銘柄を併記しています。)

  • ケルシュ、ドイツ(ガッフェルケルシュ): 特徴の無いのが特徴と言われるくらい、日本のラガービールをよりクリアにしたような「普通においしい」ビール。でもその分、ごまかしが効かず、作るのが難しいそうです。
  • アメリカンスタイル・ペールエール、イギリス→アメリカ(アンカー・リバティエール): 柑橘系の香りがします。個人的にはこのタイプが特に好きです(日本ならよなよなエールなど)。この銘柄のように、アメリカのものはイギリスのものより香りが強めの傾向があるそうです。
  • グーズ・ランヴィック、ベルギー(ブーン・グーズ):自然発酵といって、空気中の酵母を使って発行させるタイプだそうです。なので大量生産ができず高いとか。そんな成り立ちにも興味はわきますがさらにおもしろいのがこの味。すっぱいのです。好みがわかれる味とのことですが、私はこれもおいしくいただきました。
  • ラオホ、ドイツ(シュレンケラ・ラオホ): ビールの材料の一つに熱風で成長を止めた麦芽がありますが、ブナをいぶした煙を麦芽にあてたのがこれ。なので、燻製の香りがします。これは家でも飲んだことがありますが、ほんとにこの香りとビールの苦み・甘み(甘みもけっこうあるんです)がしっくりきて味わい深いです。
  • フランダース・レッドエール、ベルギー(ドゥシャス・ドゥ・ブルゴーニュ): 赤い見た目にあわせたように甘酸っぱい、果実酒のようなビール。インパクトではこれが一番かなあ。もちろんインパクトだけでなく、また飲みたいなとも思いました。
  • ポーター、イギリス(フラーズ・ロンドンポーター): 重い苦みとチョコレートみたいな香りがあいまって飲み応えのあるビール。麦芽の味なんだそうです。


最後の2本は、日本の地ビールのトップクラスは世界レベルとのことで紹介されました。

  • インディア・ペールエール、イギリス(いわて蔵ビール インディア・ペールエール): インドへの長い航海に耐えられるようホップを多く投入してつくられたインディア・ペールエール。それで苦みが強くなったわけですが、一方ですっきり感もけっこうありました。
  • スタウト、イギリス・アイルランド箕面ビール スタウト): ギネスに代表されるスタウトの本場イギリスでコンテストの金賞をとったそうです。そういう受賞歴を抜きにしても本当にしっかりした苦みが飲み応えありでした。


この2回の講座で、ビールがどれだけ幅広く奥深い飲み物なのか、その世界の入り口を覗き始めた私にも頭と鼻と舌と目で理解できてきた気がします。これまでは、ただ単に酔うのが好きで発泡酒ばかばか飲む → 普通のビールを飲むとやっぱりこっちのほうがおいしいのでまたばかばか飲む → 10円玉を少し足しただけでかなりおいしくなるプレミアムモルツと、たまにギネスを味わう という感じでビールに接してきましたが(そして飲み過ぎで1年前に軽度の肝機能障害に)、いや他にもいろんなビールがあるぞ、自分が好きなスタイルがきっとあるはずだ、探してみよう、そしてじっくり味わおう(肝臓のためにも・・・あと一般的でないビールはちょっと高いということもあるので)という新たな楽しみをこの講座で見つけることができました。講師であるBeer Cafe Barleyの店主さんにはお礼を申し上げます。

追記: 2011年10月、次の講座を受けました。NHK文化センター講座:秋こそビール!〜ドイツのビールを楽しむ〜


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