[物語]
若槻慎二は、京都の生命保険会社の主任。死亡保険金の査定を行っている。ある日彼は、指名され訪問した家で子どもの首つり自殺死体の第一発見者になってしまう。このときから、その「黒い家」の恐ろしい秘密が徐々に明らかになっていく・・・
[感想]
「天使の囀り」「青の炎」に引き続き貴志祐介第三弾。トリビア満載の現実性のある怖い話、という点では「天使の囀り」に似ているとも言えますが、「天使」が生物学的事実を駆使した生理的に怖い話だとすれば、本作は生命保険制度や実際の生命保険目当ての殺人そして心理学を駆使して、道に外れた人間の怖さを描いた話といえるでしょう。この小説のモチーフになったと思われる事件が作中で紹介されますが、調べてみるとやはり実話だったようで、このような事実の積み重ねが好奇心と恐怖を増幅させてくれます。
「天使の囀り」に引き続き、読み終わるまで眠れなかったことをつけくわえておきます。