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ホテル・ルワンダ

ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション [DVD]

ルワンダの虐殺については話では知っていたけど、映像で観ると受ける印象はまったく違いますね。言葉を失いました。

残虐なシーンは最小限に抑えられています。だからそこからショックを受けたわけではありません。彼らも、私たちとさして変わらない生活をしていたということと、ラジオの呼びかけだけで(他の要素もあったのでしょうが)100万人単位の虐殺が簡単に起こってしまうというところに、言葉では言い表しにくい衝撃を受けたのです。

人間、そんなきっかけで、子供を含めた隣人をナタで殺せるようになるものなんでしょうか。1994年のルワンダではそれが実際に起こったわけです。

そして国際社会の無関心。この虐殺が国際社会で無視されていたこと、これも情報としては知っていましたが、映画でそれを見せつけられるとなんともいえない自責の念にとらわれました。劇中のジャーナリストの「(視聴者は)虐殺の映像を見ても、『怖いね』というだけでディナーを続ける」という言葉は、クーラーの効いた部屋で冷たいものを飲みながらこの映画を観ている自分のことのようでした。

ところで、以上のように書くと、悲惨なだけの映画に思えるかもしれませんが、この映画が素晴らしいのは、それだけに終わっていないところです。簡単に虐殺を起こす「人間の負の面」を描き出しつつ、虐殺のさなか1200人をホテルにかくまい救った主人公ポールの不屈の精神と柔軟性(人を救うためならわいろも使いまくる)は、人間の正の面を代表しているようで、このコントラストこそが、この映画で一番印象的だったポイントでした。


後日追記:この映画がきっかけで関連本を読んでみました。
「ジェノサイドの丘−ルワンダ虐殺の隠された真実」(上)


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