庭を歩いてメモをとる

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トルーマン・カポーティ「夜の樹」

夜の樹 (新潮文庫)

短編集。都市生活者の凍えそうな孤独を浮き彫りにしたかと思えば、地方の子どもの天真爛漫な(そこにはいくばくかの「子どもならではの怖ろしさ」も見え隠れするのですが)生命力を描き出す。それでいてどの作品もびっくりするくらいの完成度で、そして大事なことですが、小説として面白い。すごい。

それぞれの両極で特に印象深かったのは、個人的には「最後の扉を閉めて」「無頭の鷹」と「誕生日の子どもたち」かな。

翻訳文がしっくりくるなと思ったら、90年代に入ってからのもののようです。訳者の力量もあるのでしょうが、「今の言葉」が使われているってところも大きいと思います。古典の古い翻訳などでは、そんな日本語今使わないよってケースが散見されますが、この訳ではそれがほとんどなかったのです。


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