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庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

アンナ・カレーニナの法則 〜 アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス「Good Luck」、トマス・J・スタンリー「なぜ、この人たちは金持ちになったのか」

本・まんが

Good Luck

図書館でふと目にした「Good Luck」。一時期本屋でよく見たけどどんな内容だろう、と読んでみました。予想通りのシンプルな本でした。

物語はこんな感じです: 54年ぶりに再会した幼なじみ。一方は貧しかったのが資産家に、一方は多額の遺産を相続したが破産に追い込まれた。資産家になったほうは、魔法のクローバーを探しに森へ出かけた二人の騎士の物語を語り始めた。クローバーを探しに行こうという積極性までは同じ二人だったが、その後のアプローチは対照的なものだった。それが、数日で大きな差を生み、結果はまったく異なるものになった。まるで二人の幼なじみのように。

おそらく、伝えたいことは、幸せになるには「主体性」と「条件」が必要、ということなのでしょう。それをおとぎ話のかたちで語りかけています。でも、例えばパウロ・コエーリョのような「ちょっと立ち止まって考えたくなるような奥深さ」は感じませんでした。まあ、それがこの本のいいところなんでしょうけれども。

それよりも、この本の「幸せになるにはそのための条件が揃っていることが必要」というメッセージって、トルストイの「アンナ・カレーニナ」の冒頭の文章を思い出させてくれます*1。要約すれば「幸せな家庭はみな似ているが、不幸せな家庭にはいろんなタイプがある。」つまり、幸せになるには、不幸せになるような要因を取り除き幸せになる条件を揃えることだ。そうしていくと、幸せになる家庭は同じ条件を満たした家庭になるので、結果として各々が似てくる。しかし不幸せになるにはいろんな方法がある。条件が揃っていない状態は何種類でもあるからだ。そういうことを言っているのでしょう。

なんとなくわかるけど、じゃあ幸せになる条件って何?そんなふうに考えたときに思い出したのが、以前winterさんのブログで紹介されていた、トマス・J・スタンリー「なぜ、この人たちは金持ちになったのか」。アメリカの億万長者1371人にアンケート調査を行い、億万長者の価値観や生活ぶりをレポートした本です。「億万長者=幸せ」とは限らないとはいえ、こういった成功には「条件」があるのかどうかを知りたくなって手に取ってみました。

なぜ、この人たちは金持ちになったのか - 億万長者が教える成功の秘訣

内容の詳細はwinterさんのブログで非常にわかりやすく紹介されていますのでそちらをご覧いただければと思いますが、要は「条件」とまではいかなくともやはりかなりの程度の共通傾向があるということがわかっていただけるでしょう。

それは大抵の予想に反し、いたって常識的なのです。「誰に対しても正直であること」をもっとも重要な価値観とし、90%以上が大学卒ではあるが成績は特に優秀というわけではなく、それどころか若いころに教師などから評価されなかったケースも多いが、親がそれに耳を貸さずに子どもを励まし続けた。離婚率が平均よりかなり低い。買い物にはクーポンを使い、靴や家具は修理して使う。注文住宅は買わず、ちゃんと値下げ交渉をして中古を買う。余暇の過ごし方は家族や友人とのお金のかからない交流が中心で、海外旅行には2年に1回くらいしか行かない・・・これらの特徴をイメージだけで言えば、億万長者と聞いてつい想像しがちな「優秀な人の派手な生活」というよりは、「普通の人の地味でまじめな生活」という印象です。

もちろん、行動力とある程度の元手が必要な、億万長者らしい傾向もあります。自営業が多い、ローンを使おうとしない、ゴルフ愛好者が多い(遊びながら商売の人脈が形成できるから)、余暇の過ごし方で一番多いのは税務の専門家からアドバイスを受けること、住む場所はある程度土地が高くても公立学校のレベルの高いところを選ぶ(教育費節約のため)、「安物買いの銭失い」を嫌う、など。

まあ要するに、億万長者は生活全般について「長期的利益を得るためによく考えて行動している」ということなのかもしれません。そういえば「Good Luck」の魔法のクローバーを見つけた方の騎士もそうだった。結局、「アンナ・カレーニナの法則」の根っこにあるのは、「人生にしっかりコミットしていく姿勢」なのでしょう。

なんだか長々書いたわりに当たり前すぎる締めになってしまいましたが、マイサイトに載せている私の祖父母へのインタビューで、祖父が「秘訣とは本来平凡なものだ」と語っていたことを思い出しました。

*1:でも実は、「アンナ・カレーニナ」は読んだことがありません。冒頭の文章を知っているのは、ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」で紹介されていたからです。