庭を歩いてメモをとる

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スタンダール「赤と黒」

赤と黒〈上〉 (岩波文庫)赤と黒〈下〉 (岩波文庫 赤 526-4 9


貧しい製材所の息子ジュリアン・ソレルは、聖書を丸暗記できる頭脳と秘めたる野心を武器に、領主レナール氏の元に家庭教師の職を得る。その後、レナール夫人を誘惑し恋仲になるが、そのことを疑われるようになり氏の元を出る。立身出世を夢見て神学校に進んだ彼は、今度は貴族の元に住むようになるが、そこでも・・・

このジュリアン・ソレルの才能、純粋さ、野心、そして情熱は、今冷静に見るとはっきりいってかっこ悪いものなのかもしれません。しかし、この青年の生き様には個人的には思春期の青い感覚にばっちりはまってしまい、酔わされました。恋愛小説ということになっていて、もちろんそれはそのとおりなのですが、それよりもこの青年の情熱、「〜を義務と考える」その性格。10代の頃、彼に会えてよかったと今も思います。

なお、岩波と新潮から文庫が出ていますが、岩波の生島訳のほうがよりしっくりくる日本語になっているように感じました。


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