読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

庭を歩いてメモをとる

おもしろいことや気になることのメモをとっています。

日本と一番価値観の異なる国はエジプト?-高橋徹「日本人の価値観・世界ランキング」

本・まんが 社会と課題

日本人の価値観・世界ランキング (中公新書ラクレ)

世界価値観調査というものがあります。様々な国の人々に同じ質問をして、その答えから価値観の類似・相違を明らかにするというものです。この結果をまとめた本があったので、ここから、日本が上位5国または下位5国に入っているものをピックアップしてご紹介します。

調査対象数: 18歳以上の男女個人合計1000サンプル程度。国により質問内容が不適当と判断され省略されたものがあるので、調査対象国数は質問によって異なります。

調査時期: 2000年です。ただし※印のあるものは1995年。いずれにしても、今だとまた違った結果になるのかもしれません。


予想通りだった結果

人生にとって宗教は「非常に重要」+「やや重要」

1位 エジプト 99.9%
2位 インドネシア
3位 ヨルダン
4位 モロッコ
5位 ナイジェリア

69位 デンマーク
70位 チェコ
71位 エストニア
72位 日本 19.5%
73位 中国 8.8%

これは日本、世界で一番低いのではないかなと思っていました。ほぼ予想通りですが、日本以下がいました。中国です。しかも日本の半分以下のポイントですから突出しています。共産国家だからかなと考えましたが、本に記載のある1位から73位までのすべてのランキングを見ても、少なくとも旧共産国ばかりが低い位置にいるとは限らないようです。むしろ傾向としてみられるのはおおむね先進国が低め、ということです。

上位国はすべてイスラム国家で、これも予想通りですね。


就職先を選ぶ時最重要視するのは同僚である

(スコア:給料、安定、同僚、達成感、わからない、からひとつだけ選択させた比率)

1位 日本 27.0点
2位 トルコ※
3位 ドイツ※
4位 スウェーデン※
5位 グルジア※

51位 ベネズエラ
52位 マケドニア※
53位 ジンバブエ
54位 ナイジェリア※
55位 韓国 3.3点


就職先を選ぶ時最重要視するのは給料である

(スコア:給料、安定、同僚、達成感、わからない、からひとつだけ選択させた比率)

1位 アゼルバイジャン※ 63.6点
2位 ボスニア・ヘルツェゴビナ※
3位 グルジア※
4位 リトアニア※
5位 ウクライナ※

51位 ドイツ※
52位 フィンランド※
53位 日本 11.7点
54位 スウェーデン※
55位 ノルウェー※ 9.0点

ドイツ・スウェーデン・日本はどちらのランキングでも似た位置にいますね。人種も距離も離れているのに職業感は似ているというのはなんだか不思議な気もします。一方お隣の韓国とは「同僚を最重要視」で1位と最下位とすごいスプリットぶりです。


戦争が起きたら参加する

1位 トルコ※ 参加する 94.7%
2位 ベトナム
3位 アゼルバイジャン※
4位 中国
5位 モロッコ

55位 ウルグアイ※
56位 ドイツ
57位 チェコ※
58位 スペイン
59位 日本 15.6%

これも予想通りですが、もうひとつの日本の特徴は「わからない」が圧倒的に多いことだと本の中で指摘されていました。全順位を見渡すと、日本は「わからない」が37.7%もあり、かつ次に多いのが26.0%のブルガリアということを考えるとたしかに突出している感はありますね。


意外な結果

科学の進歩は人類の利益となる

1位 トルコ 85.0% (利益にも害にもなる 8.0%)
2位 ナイジェリア
3位 エジプト
4位 中国
5位 ベトナム

60位 台湾※
61位 スロベニア
62位 クロアチア
63位 イタリア
64位 日本 22.6% (利益にも害にもなる 64.8%)

自他共に科学技術の高さを認めていそうな日本ですが、「科学が利益になるか」との問いには最も否定的な回答をしています。しかし著者によると、これは回答内訳「利益にも害にもなる」の圧倒的多さが影響しているとのこと。決めきれないのか、公害などのデメリット面を意識しているのか。あと、全ランキングを見ると、発展途上国が上位にくる傾向もありました。

子どもを持てば、親は子の犠牲になるのもやむなし

1位 エジプト 93.3%
2位 プエルトリコ
3位 マルタ
4位 ジンバブエ
5位 ベネズエラ

69位 ロシア
70位 韓国
71位 ベラルーシ
72位 日本 38.5%
73位 リトアニア 34.8%

日本や韓国は教育熱心で、海外に比べ「子どもを持てば、親は子の犠牲になるのもやむなし」と考えているのではと勝手に思っていましたが、実際は逆でした。

安楽死許容度

(スコア:「認められる(10点)」から「認められない(1点)」までの10段階回答の加重平均)

1位 オランダ 6.72点
2位 デンマーク
3位 日本 6.34点
4位 スイス※
5位 オーストラリア※

68位 インドネシア
69位 ジンバブエ
70位 ヨルダン
71位 エジプト
72位 バングラデシュ 1.10点

オランダは安楽死が法的に認められているので当然としても、日本がそのオランダとさして変わらない許容度を有していることには少し驚きました。社会の高齢化が他国に比べ進んでいるので、こういった問題を考える機会が多いからなんでしょうか。

新聞・雑誌を「非常に信用する」+「やや信頼する」

1位 バングラデシュ 90.0%
2位 ベトナム
3位 タンザニア
4位 リトアニア
5位 日本 70.3%

69位 ペルー
70位 マケドニア※
71位 オーストラリア※
72位 クロアチア
73位 イギリス 14.2%

先進国はおおむね低めなのですが、日本は例外的です。メディアを批判的に見ている人がもっと多いものと思っていましたが、少なくとも2000年の時点ではそれほどでもなかったようです。ただし、この時点でも前回調査より割合が減少傾向にあるとのことなので、今調査するとまた違った結果が出るのかもしれません。

イギリスが最下位なのは納得です。BBCや「エコノミスト」など世界的な放送局・雑誌がある反面メディアを批判的に見る姿勢が徹底していることと、一般家庭に宅配されている新聞はだいたいタブロイド(日本のスポーツ新聞、もっと言えば東スポっぽい感じ)ということが関係しているような気がします。

自分の国に誇りを「非常に感じる」+「かなり感じる」

1位 エジプト 99.1%
2位 フィリピン
3位 ベトナム
4位 パキスタン※
5位 コロンビア※

70位 ウクライナ
71位 日本 54.2%
72位 リトアニア
73位 エストニア
74位 ルクセンブルグ 51.2%

これは意外とも予想通りともいえる、複雑な気持ちになる結果でした。どちらの声もよくネットなどで見かけるので・・・それでも個人的には、ここまで低いとは思っていませんでした。全体的には、旧共産国家が低めで、発展途上国が高めになっているようです。


エジプトと日本、真逆が多いが共通点も

さて、以上をご覧になって、日本と真逆の結果がよく出ている国に気づかれたと思います。エジプトです。上記9つのランキングのうち4つにおいて、日本が上位ならエジプトは下位、日本が下位ならエジプトは上位、となっています。

実はそのエジプトと日本が似た位置にある価値観があるのです。

「自由に人生を生きている」

(スコア:「生きている(10点)」から「生きていない(1点)」までの10段階回答の加重平均)

1位 プエルトリコ 8.25点
2位 ベネズエラ
3位 メキシコ
4位 アメリカ
5位 カナダ

23位 日本 5.95点

25位 タンザニア
26位 インド
27位 バングラデシュ
28位 エジプト 5.47点
29位 トルコ 5.47点

エジプトと通じ合える(大げさ)な価値観があると思ったら、こんな残念な内容でした。こちらは傾向として発展途上国が下位にくるケースが多いのですが、またしても日本は例外です。あと、単なる偶然かもしれませんが、トップ5はすべて南北アメリカ大陸ですね。



以上、日本が上位または下位に入った結果だけをピックアップしたので、まるで日本が特殊な国民性を持っているような印象を受けがちですが、実際は他国に比べ平均的な回答も少なくありません。たいていの国が、「他国に似たところもあるけど、特徴もある」という感じです。

とはいえ、日本がなぜこの価値観については他国と著しく異なるのか、という理由についてはもっと知りたいなとは思います。この本でもある程度の考察はなされていましたが、決定的なものは少なかったです。こういった価値観の相違理由について考察した本やウェブページをご存知の方はお教えいただければ幸いです。


関連メモ:日本人の意識調査